20180612(201609**)

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とある声優のInstagram投稿を見て、自分が昔書いた日記を思い出した。(https://www.instagram.com/maikonomura102/

メモ帳を探すと見つかったので電子の海に流すことにする。見るに耐えない箇所もあるが、当時書いたまま貼り付けよう。(それにしても情熱的だが、恋でもしていたのだろうか。)

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20160905

台風の接近に伴い、駒場の森に雨が降っている。大粒で、なまぬるい、実に夏らしい雨である。 アブラゼミの鳴く声は空気中の湿気に遮られ、どこかシャリシャリと余所余所しい。 私はこれに似た音を過去にどこかで聞いたような気がする──そうだ、まだ幼かった時分、小学校の水泳の授業中よく耳にした音に似ているのだ。 プールに潜っていると、プールサイドで話す級友たちの話し声や足音が水面に立つ波に揺られて不思議なリズムで耳に届く。このシャリシャリとしたどこか悲しい音を聞くのが好きだった。もう10年も前の出来事である。 

ああ、しかし、夏というのはどうしてこんなにも懐かしいのであろう。 日照りの間アスファルトにしみ込んでカラカラ乾いていた夏の匂いの、打ち付ける強い雨に溶かしだされて空気中に充満しているのもまたいいようもなく懐かしい。 寝床を目指し隊列を組んで夕間暮れの空を飛ぶ鳥たちも、風も、雲も、何もかもが私が過去に見た夏の風景を克明に脳裏に蘇らせる。私はこの夏に居ながらあの夏の景色ばかり見ている!この事実が私をどうしようもなく哀しい気もちにさせるのだ。

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20160926

真夏の空に鎮座し続け、未来永劫その姿を変えることのないように思われた巨大な大理石彫刻が、終ぞ粉微塵になって砕け散った。 夕間暮れの空には入道雲の破片が舞い、陽光を乱反射して中空に薄靄をかけている。 私は、夏の終わろうとしているのを確信した。

20160927

一晩のうちに入道雲の破片が地上まで降りて来、朝日を反射してきらきらと輝いている。町全体が黄金色の光を放つ様子は幻想的を通り越し調和的である。信心深い教徒が神に出会うのはきっと今日のような朝なのだろうと、私はそんなことを考えていた。 日暮れ時、真昼のように青々とした空に大小様々な薄雲がこびり付くように点在しているのに気づく。私を何より驚かせたのはその薄雲たちの色である。それは、今まで見たどんな雲よりも毒々しい赤をしていた。夏が死んでしまったのだ!大量の喀血をして!私は忽ちのうちに此のような悲劇的な連想をした。その空は、その雲は、美的な連想をするにはあまりに鮮やかすぎたのだ。